人間関係のルール

全ての人間関係にはルールがある。ルールの特徴は大きく分けて、3つある。

一つは温度。これは、異性関係で顕著だと思う。好きになったことを「お熱」とも言う。少し昔の言葉だが。
もしお互いの関係の熱が高まっていない時に告白をすると、振られることが多い。また、運良く付き合っても振られる時に「冷めた」とも言われる。
良い教育者の特徴は、生徒に対して情熱的であることだ。このように人間関係で「熱」が特徴的であり、熱が無い人間関係は長続きしない。

二つ目の特徴は受容度である。ルールが厳しければ厳しいほど受容度は低い。逆に緩くても問題ない組織、社会は非常に受容度が高い(寛容)だと言える。
日本は諸外国に比べると寛容で平和な国だ。AVを初めとしたポルノもあるし、異常にルールを厳しくしなくとも平和が維持されている。まあ、暗黙のルールは多いのだが。
途上国には「人を殺したら死刑」という国が多い。これは受容度が低く、ルールを厳しくしないと社会が機能しないからだ。最近の就職活動でも「働き方」が問われているが、これも色々な働き方を許して欲しい、受容して欲しいということに他ならない。

三つ目は自浄機能である。基本的に、どんな人間関係であっても問題は必ず生じる。衝突を避けることはできない。衝突が起ころうと、危機的な事態が生じようと、それ自体は普通のことだ。

問題はその後。人間関係に亀裂が入ったり、不信感が募ることを止めなければならない。例えば、会社で「財布が無くなった!」という事件があったとしよう。その時、何故か皆はあなたが犯人だと疑ったとする。

しかし、真実は被害者がトイレに置き忘れていただけだった。そんな状況を想像してみて欲しい。

あなたが普段から怪しい行動ばかりしていれば話は別だが(笑)、そうでなければ「こいつら、本当は俺をそんな風に見ていたのか……」と思うのではないだろうか?少なくとも私だったら、彼らを再び信用することができない。

こういう事件が起きた時、自浄作用が試される。自浄作用の高い会社であれば、「〇〇君を傷つけてしまった!本当にごめん!皆で慰めに飲みに行こう!」などと、何かしら手立てを打つであろう。

逆に自浄作用の低い会社は、この後に何のフォローもしない。そして、お互いの不信感はより高まっていく。疑われたあなたは他の人間を信用しないだろうし、他の人も「自分は疑われないように」振る舞うようになる。

仕事をキッチリとすることが第一の目的にはならず、他人から嫌われないようにすることが第一の目的にもなりかねない。日本人に多い「良い人」思考の典型だ。

自浄作用が低いと、それこそ水のように人間関係も「腐る」のである。お互いがお互いを腐らせ合う。したくもないサービス残業を皆一緒にさせて逆に効率を悪くするように。本当は行きたくもないデートをいつも行くように。それぞれが不満を貯め続け、不満と不信で不満足な思いが満ちるほどに関係を腐らせていく。